little man note,

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『クルドの夢 ペルーの家』

乾英理子『クルドの夢 ペルーの家 日本に暮らす難民・移民と入管制度』(論創社

https://ronso.co.jp/book/クルドの夢-ペルーの家/

クルド人一家の章を再読。ここ数ヶ月、埼玉県川口市におけるクルド人の行動を問題視するネット記事が目立っているが、例えば住民同士のトラブルは文化の違いが原因であり、犯罪行為は個人における社会的背景が色濃く影響しているときちんと認識しておく必要がある。

特に後者に関しては、安易に人種のせいにしてはならない。

複雑な他者を、端的なイメージに収斂させることなく、複雑なまま対峙することでしか、多様な社会は実現しない。そのことをあきらめないでいたいと思う。

また同書には、

外国人の受け入れが語られるとき、経済や人口の問題が主眼とされることが多い。しかし、移民であれ難民であれ、単にカウントされる「駒」ではなく生きている「人間」である。

とあり、

統計に出てこない人々の存在感や、メディアが光を当ててこなかった人間の表情、聞こうとしてこなかった声は、社会からどんどん不可視化されていく。

(中略)

多くの日本の人々は、そうしたよくわからない相手を知ろうとしないまま、複雑な環境に置かれた他者の存在を目前に、素通りしていく。

と指摘している。